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2009年12月

2009年12月16日 (水)

奈良の観光まちづくり - 日本地域経済学会第21回奈良大会

2009年12月12日(土)。奈良女子大学で行われた日本地域経済学会第21回奈良大会に出席しました。

わたしが今年一年の研究成果を発表する自由論題報告は翌日午前中でしたが、この日は地域公開シンポジウム「世界遺産都市・奈良における新たな観光戦略と地域経済」が同大学キャンパス内の記念館で行われました。その内容を簡単にお知らせします。

まず阪南大学の吉兼秀夫先生による基調講演が行われました。吉兼先生は現代の観光のあり方についての基本的考え方をわかりやすく示してくださいました。

観光は酒のようなものとのことです。地域にとっては百薬の長となりますが、いくつかの注意が必要が必要です。― 飲み過ぎ(頼りすぎ)に注意。未成年者の飲酒(未熟な観光開発)はよくないなど。

そして観光客も進化しています。「みる」から、「する」へ、そして「知る」、さらに今は(地域に)「浸る」。地域においてもこれまでの企業誘致などに頼る外発的な地域開発から、内発的な地域活性化策の方に向いています。そのためには交流人口の拡大が求められ、観光というものの重要性が高まってきました。国においても観光庁ができたことは画期的なことです。

そんな中、これからの観光を考える際に、「図と地」論でとらえることが有効です。「図」は、たとえば奈良だったら神社仏閣などのいわゆる従来型の観光資源(施設)。それに対して、「地」はそれを取り巻くすべてのもの。自然風景や日常的町並みなどの景観。「地」はこれまではあまり顧みられることはありませんでした。

これからは、魅力的な「図」の演出と同時に、快適な「地」の保全・創造が図られなければなければなりません。従来型の観光施設に飽きた客は、何気ない路地を散策するなど「地」に関心を持つようになります。ここがうまくいくとリピーターが増えます。

それでは「地」をつくっていくためには、何が必要でしょうか。それはパートナーシップによる連携です。その事例として、国内外のエコツーリズムの取り組みについての紹介がありました。

続いて、パネルディスカッションが行われました。基調講演の吉兼先生のほか、奈良市中心部の奈良町でまちづくりを行っておられる三人の方が事例報告してくださいました。

魚谷和良さんは、地元商店街でかまぼこ店を経営されていますが、バサラ祭り実行委員長のほかいくつかのまちづくり活動のリーダーとして活躍されています。

魚谷さんらがバサラ祭り」をはじめたのは1999年。行政主導で行われてきた「ならまつり」の実行委員会が解散して、そこに集まっていたスタッフたちと、誰でも気軽に参加できて、まちが盛り上がるものはないかと企画したそうです。またあとで紹介のある、「なら燈花会」も同じ時期に、やはり魚谷さんが言い出しっぺとなってはじめたとのことです。

ならまち振興財団専務理事の林啓文さんは、バサラ祭りやなら燈花会の取り組みがはじまって、市民の方々が中心商店街に足を向けるようになり、近年商店街の通行量が増加傾向にあるという報告をしてくださいました。

最後にNPO法人なら燈花会の会副会長の中野聖子さんが、「なら燈花会」について報告くださいました。中野さんは、地元ホテルの専務取締役ですが、はじめのころは一ボランティアとして燈火会にかかわりはじめ、ろうそくに火をともす役をしているうちにいつの間にか副会長になったとおっしゃっていました。真夏は奈良の観光も閑散期。夜の奈良は本当に暗いのに、そんな中、燈火会がある日は夜遅くまで観光客で賑わうのでとてもありがたい行事になっている、そして市民ボランティアに支えられているこの祭りは、ボランティアにとってもろうそくに火をともすことで、このまちに関わっていることに誇りを感じさせる、このまちにとって欠かせないものになっていると語ってらっしゃったのがとても印象的でした。

三人のお話をお聞きして、このまちではまちづくりのイベントが決して観光のための一過性のものではなく、市民のまちづくり意識を高め、まちに愛着を感じさせることにつながっているのだなと思いました。

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シンポジウム会場となった、奈良女子大学記念館

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キャンパス内には普通に鹿が歩いていました。