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2006年2月

2006年2月28日 (火)

のどかな里で

2月26日(日)。熊本県三加和町に行ってきました。三加和町地域交流促進協議会という官民共同組織からのお招きで、まちの駅について講演をさせていただくために向かったのですが、北九州市から福岡県瀬高町まで電車で1時間40分、そこからJRバスで三加和町まで約40分の長旅でした。でも日曜朝ののどかな空気がただようなか、田んぼや畑や遠くの山をながめながらの路線バスの旅も、なかなか良いものです。

さて、まちの駅講演は町の公民館でお昼過ぎからはじまりました。参加された方は15名くらいでしたが、町内各地域の里づくりのリーダーとしてがんばってらっしゃる方が中心で、約90分の講演時間にもかかわらず、皆さん終始真剣に耳を傾けてくださいました。

今回の演題は「まちの駅からはじまるまちづくり」。まちの駅とは何かということからはじめて、いろいろなまちの駅駅長さんたちの言葉を引用しながら、まちの駅への取り組みを通じて人々の意識が変わり、それが「フツーの人」による新しいまちづくりがはじまっていくということをお話ししました。

この三加和町は過疎地に指定されていますが、それだけに町民の皆さんは以前から減り続ける人口、そして失われていく町の活力に対する危機感を持っておられ、それが住民主導で行われる里づくり運動へとつながってきています。まちづくり(里づくり)活動については、皆さんすでに実践を積んでらっしゃるためでしょうか、「まちの駅がまちを元気にする力を持っているといっても、それは体の中からじわじわと体質改善をしていく漢方薬のように即効性はないものです」というわたしの主張を実に良く理解してくださったようです。講演後の意見交換でも、「少しずつでいいから、自分たちのできるところからはじめていこう」と皆さんおっしゃっていました。

ところで、この三加和町。3月からは隣の菊水町と合併して、和水(なごみ)町となるそうです。新しい町になっても、ぜひ今までのようなあたたかい里づくりを続けていって欲しいなと思いながら、役場の係長さんの車に乗せてもらってこの町を後にしました。

2006年2月18日 (土)

チイキ!ゲンキ!マチノエキ!(「第8回まちの駅全国大会in甘木・朝倉」の記録)(2)

2.基調講演

「地域を元気にする『まちの駅』とは!」。大会テーマをタイトルに行われた基調講演。
講演者は、宇都宮大学工学部教授・古池弘隆先生です。

昨年9月、スイスのチューリッヒで行われた国際会議「WALK21」で、”Machinoeki”を国際デビューに導いた古池先生。
今回の基調講演では、チューリッヒでの模様を織り交ぜながら、まちの駅の「きほん」をお話くださいました。

§基調講演 要旨§
徒歩が移動の主な手段だった頃、街道筋には旅人の休憩や情報入手の場として、「駅(うまや)」が設けられていました。
明治時代、鉄道の敷設が進み、汽車が重要な移動手段になったことに伴い、「駅」は鉄道の停車場としての「駅(えき)」を意味するようになります。
20世紀後半から、移動の主な手段は鉄道から車へと変わりました。そして、新たに登場したのが車利用者のための休憩施設・「道の駅」です。1993年に始まり、全国に800以上ある「道の駅」は、大規模な駐車場や休憩場所、レストランなどを整備し、地元の農産物などの物販により、地域経済へも大きく貢献しています。そのため、成功事例としての「道の駅」の概念は、世界銀行によって輸出され、現在ケニアと中国で、実証実験が行われています。

車利用者のための施設である「道の駅」に対し、歩く人のための施設として誕生したのが「まちの駅」です。
「道の駅」が、主に行政により幹線道路沿いに、大規模な施設を伴って建設されるのに対し、「まちの駅」は、設置場所に制限はなく、だれでも既存の施設を利用して、始めることができます。
休憩・情報発信・交流・地域連携の4つの機能を持つまちの駅に必要なのは、看板+だれでも気軽に使えるトイレ+街の情報+笑顔あふれる案内人さんです。

現在、全国に572ある「まちの駅」は、さまざま主体により、さまざまな場所に設置されています。
目的別には、観光案内所や行政機関のような「まちづくりタイプ」の駅、「海の駅・川の駅・健康の駅」など「テーマ重視」の駅、幼稚園や介護福祉施設のような「特殊」な機能に休憩スペース等を併せ持つ駅などがあります。
また、設置者のタイプでは、「民間団体が中心になってつくる駅」、「市民が一からつくる駅」、「行政がつくる駅」、「行政の支援を受けた民間事業者等がつくる駅」に分けられます。

平成16年の中越地震の際、まちの駅のネットワークを通じ、全国から長岡市や見附市のまちの駅に救援物資が届けられた事例に代表されるように、最近では、まちの駅同士の交流・地域連携も、盛んに行われるようになりました。
これからのまちの駅は、中心市街地活性化等において、その効果を発揮していくものと思います。

2006年2月14日 (火)

チイキ!ゲンキ!マチノエキ!(「第8回まちの駅全国大会in甘木・朝倉」の記録)(1)

九州で初、福岡県甘木市で行われたまちの駅全国大会が盛会のうちに終わりました。たくさんの方々が集まり、「地域が元気になるまちの駅とは!~チイキ!ゲンキ!マチノエキ!」をテーマに熱い議論が交わされ、そしてあちこちであたたかい交流が生まれました。そこでこれから数回に分けて、この模様をお伝えしていきたいと思います。

1.全体会1(開会~「今日の流れの説明」)

2006年2月4日(土)、早朝。福岡は未明から降り続いた雪で一面の銀世界。この日、福岡県甘木市では「第8回まちの駅全国大会in甘木・朝倉」が、全国からまちの駅関係者を集め行われます。雪で交通機関が止まったりしないか - 早起きした実行委員には一抹の不安がありましたが、やがてのぼった太陽が燦々と輝きはじめ、会場となったピーポート甘木に開会準備の慌ただしさが増してきたころ、空には一面の青空が広がり、真っ白だったあたりの景色も少しずつもとの色を取り戻してきました。

そして、昼過ぎから会場には続々と参加者が集まってきました。各地のまちの駅から集まった物産が並ぶロビーにも人の波。地元新聞の告知を見てやってきたという当日申し込みの参加者も多く、最終的な参加者数は当初予想の200人を遙かに超える350人に達しました。

さて、午後1時。いよいよ開会です。まず、まちの駅連絡協議会会長の久住市長(新潟県見附市)をはじめ、地元甘木市長などの挨拶が行われました。

続いて、まちの駅ネットワークふくおかの手嶋隆行による「今日の流れの説明」です。これは、基調講演から分科会を経てまとめとしての「ちょっとだけシンポジウム」までの議論の流れを、それぞれの位置づけと目的をはっきりさせながら、参加者全員で大会テーマである「地域が元気になるまちの駅とは!」を考えていこうという、その考え方の説明です。以下でその内容を紹介します。

ここでは、「地域が元気になるまちの駅とは!」をふたつの問いにわけてみました。ひとつは、「まちの駅が地域に与える効果とは」。そしてもうひとつは、「地域を元気にするためにまちの駅は何をすべきか」。これからはじまる議論ではこのふたつの問いについて考えながら進めていくこととしました。そしてそのあとの宇都宮大学工学部の古池弘隆教授による基調講演では、まずまちの駅とはどんなものか、基礎知識の説明により参加者全員で共通認識を持ってもらい、さらに古池先生には今後の議論のヒントを与えてもらって、各分科会へとつなげていくような構成にしてもらいました。

それをふまえて5つの分科会に分かれてもらうことになるのですが、それぞれ上に述べた「ふたつの問い」に答えることを目的としながらも、まちの駅が何かを考えるものから、まちの駅の将来性を考えるもの、またまちの駅の立ち上げや運営ノウハウを議論したり、さらには駅同士がつながって交流することについて考えるものなど、様々なレベルで議論することができるように分科会の設定をしました。また、分科会で話し合われた結論を3つのキーワードにして再び全体会(全体会2)の中で各コーディネーターから報告してもらうこととなります。このことで、よりわかりやすく他の分科会の内容も知ることができます。

最後に全体会2として、分科会で報告されたキーワードをもとに「ちょっとだけシンポジウム」を行います。これは一度分科会で広がった議論を集約する役目をもっていますが、まちの駅に対するいろいろな「目」(立場)をもったパネラー3人に壇上に上がってもらい、それぞれの観点から「ふたつの問い」ひいては、「地域を元気にするまちの駅とは!」を考えていこうというミニシンポジウムです。ここでの3つの「目」は、まちの駅の駅長さんである「現場の目」、まちの駅連絡協議会で全国のまちの駅を知っている「広く見わたす目」、さらには地方自治論からの「学問的な目」です。これをまちの駅ネットワークふくおかの手嶋がコーディネーターとなって、様々な方向からまちの駅をとらえてみようという試みです。

以上の説明が終わり、いよいよ基調講演がはじまります。(つづく)

060204000machinoeki_amagi.JPG
※「今日の流れの説明」で使用したスライドの1部です。

2006年2月13日 (月)

ほっと一息まちづくり実践中

茨城県筑西市。
がまの油でも有名な筑波山の北西に位置するこの街は、2005年3月に下館市・真壁郡関城町・明野町・協和町が合併して、誕生しました。

「たまり場たろう」は筑西市にあるまちの駅。小ぢんまりとした、暖かさいっぱいの喫茶店です。
コーヒーが美味なのはもちろんですが、なによりステキなのは、駅長の小松崎さん。
明るくて、優しくて、会えば元気と幸せをもらえる魅力的な女性です。

2003年8月には、仲間とともに、市の「しもだて地域交流センター・アルテリオ」にまちの駅「ほっと一息ステーション」を開設。
さらに2004年5月には、ご自分の喫茶店もまちの駅にしました。
その底流にあるのは、「街中には、街の人が『ほっと一息』つける場所が必要」との思いです。

小松崎さんがまちづくりの実践を始めたのは、ご家族の介護がきっかけでした。
同じ問題や悩みを抱える人たちと「在宅介護を支える会」を結成。障害者用トイレの場所や街中の段差の状態などを2年半かけて調査し、作成したマップを関係者に無料配付するなど、「現場の人間が、現場の視点で考え、現場の課題を解決する」活動を続けています。
「自分たちも楽しいし、周りの人にも注目してもらえるから」と、思い思いの和装で、車椅子を押しながら、街あるきをしたこともあったとか。

いつも前向きに、肩肘張らず、少しでも楽しく活動できるような工夫をちりばめながら続けてきた、小松崎さんの「ほっと一息まちづくり」も10周年を迎えたそうです。
それを記念して、2月19日(日)には、午後2時から筑西市民会館で、市原悦子主演「わらびのこう」という映画の上映会を開くとのこと。

まちづくりの一番の実践者・適任者は、街の人。行政の専売特許でないことを教えてくれる小松崎さんです。