2009年11月21日(土)
晩秋のどんよりとした曇り空が広がっていましたが、そこはさすがに鹿児島。風もなく、少し汗ばむほどの暖かさでした。
鹿児島県出水市の中心部から西へ5キロほど行ったところにある高尾野農村環境改善センター。エントランスホールでは、地元のまちの駅の皆さんが出迎え、みかんや柿など地域の特産品も販売されています。
この日ここで、第2回M-9まちの駅九州会議が行われました。1年前の福岡県朝倉市で行われた第1回会議では、とにかく九州のまちの駅関係者が集まって話し合うことが目的でテーマはあえて設定しませんでしたが、今回は「地域に貢献するまちの駅とは」とテーマを定めてひとつの総括まで持っていき、次につながることをめざしました。
1. 開会
会議は13時30分からはじまりました。参加者は約100名でした。地元出水まちの駅「山ん神の駅」駅長の高崎正風さんによる開会宣言のあと、開催地市長、地元代議士の祝辞が続き、歓迎アトラクションとして地元の皆さんによる踊りなど、賑やかな開会式でした。
2. 基調講演
そして京都大学大学院経済学研究科の岡田知弘教授による、「一人ひとりが輝く地域づくり」~まちの駅の可能性~と題した基調講演が行われました。岡田教授は地域経済学が専門ですが、農山村や中心市街地など地域経済の疲弊が著しい各地に足を運ばれ、現場の実態を踏まえた研究を続けておられます。
今回の講演でもまずは国勢調査など誰でも入手できるデータをつかい、わが国において構造改革以後グローバル化の波が押し寄せたことにより、どれほど人口や富が東京に集中して逆に地方の経済が疲弊しているかをわかりやすく説明してくださいました。また1980年代全国各地で「活性化」をめざした地域づくりが発展していったのはそれへの危機感を地方の人たちは肌身に感じていたからですが、ここで「活性化」とは決してそれは豪華なリゾート施設をつくることではなく、「地域に暮らす住民の暮らしが良くなること」であることを強調。そしてグローバル化に左右されない個性あふれる地域産業と地域社会をつくること、そのためには「地域内再投資力」を高めることであると提言されました。
「地域内再投資力」とは、生産から消費にいたる様々な産業連関が地域内で完結する力、平たく言うと人、モノ、カネ、情報など、地域の資源を地域内で循環させて、外から入るお金もできるだけ外に逃がさない力・しくみです。地産地消などもそれに向けた具体的な方法といえます。
そのためには地域内のいろいろな経済主体が結びつけられなくてはなりませんが、まさに多様な主体がネットワークをつくっている「まちの駅」はその大きな可能性を持っている、とおっしゃいました。さらに「まちの駅」の力は、地に足がついた活動である、自ら楽しみながらやる活動であるということにあり、活性化の主体として期待しているとも語っていただきました。
このことを会議のテーマに即して考えると、「地域に貢献するまちの駅」は、まちの駅がいろいろな主体と「ネットワーク」を組むことでそれが実現していくのではないか。わたしなりにそのようにまとめることができました。
3. 分科会
続いて、4つの分科会に分かれて参加者(全体で約80名)による議論が約100分間行われました。
第1分科会ではわたくし、まちの駅ネットワークふくおかの手嶋がコーディネーターとなり、まちの駅をご存じでない方を対象にした「初めての方のためのまちの駅講座」を行いました。講義形式でしたが、最初に「駅長さんたちはどうしてまちのために活動するのに自らお金を負担してまでまちの駅をやっているのか?」という設問を提示し、それはなぜかをいろいろな事例から皆さんで考えてもらいながら進めていきました。
なお以下の3分科会の内容は、分科会後にふたたび大ホールに全員集まって行われた全体会における分科会報告で、各コーディネーターから報告された内容をもとにしています。
第2分科会は、福岡県甘木・朝倉まちの駅の事務局長上野春樹さんによる「駅を続けていくために」です。それぞれのまちの駅の活動を持続的な取り組みをしていくためはどうしたらよいか、それは地域内でのまちの駅同士、さらに地域ブロック同士の交流を活発にしていくことだというまとめとなりました。ただし表面的につきあうだけではだめで、お互い心から交流を深めていくことが大切で、そのためには時間がかかるだろうという意見もありました。
第3分科会は、まちづくり計画研究所の今泉重敏さんによる「観光や農村型まちの駅を考える」です。これからの観光は、ただ風光明媚な場所を訪ねるというものだけでは観光客は満足せず、心と心の交流を求めていくようになる。そのためにもまちの駅は、来訪者を温かくおもてなしすることで、その受け皿のひとつになっていかなければならないと結びました。
第4分科会は、NPO地域交流センターの山口覚さんによる「たまり場機能をつくるために」です。主に商店街でたまり場機能をつくりそれを商店街への集客にどう活かしていいったらよいか、しかし実際の議論は商店街がたまり場機能をつくるというよりも、たまり場機能を生み出すために商店街が果たせる役割を考えていこうという形で行われました。結論としては商店主のボランティア精神だけに頼るだけでなく、「心にお金を払ってもらう」ような様々な仕掛けで、商店街ならではの役割を果たし、地域のひとびとのたまり場に無理なくしていこうということとなりました。
4. 全体会
全体会ではまず分科会報告が行われ、それをもとにわたしが以下のとおり総括を行いました。
岡田教授の基調講演において、住民ひとりひとりが豊かになる真の地域活性化には、地域内再投資力を高めることが必要である、そのためには多様な主体がネットワークを組んで地域でお金を回していくシステムが欠かせない、まちの駅の可能性はそのネットワーク性にあるという提言をいただきました。
そしてそれを受けての分科会でも、多様な主体が参加しているまちの駅同士の交流、さらにまちの駅とその他の主体との交流・ネットワークが必要という意見が多くありました。ただしネットワークを持続的なものにしていくためには、お互い利益を生むようなしくみがあることはもちろんですが、それに加えてお互いの信頼関係、いわば心のつながりも欠かせません。まちの駅のネットワークにはその「つなぎ目」となれる可能性をもっています。
まちの駅は、そんな心のネットワークの「つなぎ目」となることで、地域に貢献できるのではないでしょうか。
ただし、まちの駅は具体的にどのように「つなぎ目」となっていったらいよいのでしょう。次回の第3回M-9まちの駅九州会議は、来年秋に宮崎県高鍋町で行われますが、その時にこのことについて考えてみたいと思います。
5. 交流会
会議が終わるとすぐに、エントランスホールで交流会が始まりました。会場の外はもう真っ暗で冷え込んでもきましたが、会場での地元の女性グループによる手作り料理でのおもてなしはとても温かく、またあちこちで熱い、でも笑顔あふれる議論が続きたいへん盛り上がりました。まちの駅の駅長さんたちもそうでない人もすぐに友達になり、交流の輪がつくられていきました。ネットワークの「つなぎ目」をつくっていくことは、まちの駅にとってはそんなに難しいことではないなと、あらためて感じました。

↑交流会ではあちこちで交流の輪が広がりました。

↑温かい手作り料理をつくってくださった「NPOさわやか出水女性の集い」の皆さん。
↑全体会で司会をしてくださった永島由美子さん(出水市・やきものの駅)。

↑開会から閉会までずっと会場でお世話くださった、地元の皆さん。

↑終わりまでずっと賑やかでした。
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